Location Services『In Passing』(Beer On The Rug)
前作から約11カ月ぶりの二作目で、どちらもギリギリ2016年内にリリースされている。音楽性もほぼ地続きだが、こちらの方が微妙~に内省の色が濃くなっているような。前作を『Music For Airports』とするなら今作は『On Land』で、際どいレベルではあるが公共感のようなものが減退している。なにかの展示を示したジャケットは相変わらずだが、前作にあったオフィスの環境音はなくなった。メロディーもあるのだが絶妙に頭に残らない音楽で、改めて考えれば展示という概念は「家具」と共通するところもあるかも?とか。
Orthodontrix『First Visit』(Beer On The Rug)
ブルックリンのクィアなアーティストのデビューEP。空間を埋め尽くすマッシブな音遣いが特徴のドリーミーなエレクトロニカ。…というか音像的にはもうシューゲイザーの領域に達しており、言ってしまえば「PC Musicなどのビビッドなサウンドの流行を経た後のUlrich Schnauss」のような音楽だ。楽曲は直情的でエモく、こう言ってはなんだが若者向けな感じがある。蛍光色のスモークが充満したスタジアムで大勢の若者がシンガロングしているような、聴いているとそんな情景が頭に浮かんでくる(インスト作品です、一応)。