2018

Nike_Vomita『NIGRA EP』(Beer On The Rug)

バルセロナのプロデューサーの作品。ウィッチハウスやニューエイジ、グリッチなど多彩な音楽性を窺わせるが、中心となるスタイルはおそらくIDMで、時にはモロにAutechreを思わせる場面も。強迫的な「NIGRA_THM」を除けばそこまでフィジカルに訴える感じもな…

CAMERON EVERETT『Purest Realms』(Beer On The Rug)

PLAYBOYのラビットヘッドと太極図を組み合わせた奇妙なイラストが目を引く5曲入りの約15分。輪郭のぼやけたエレクトロニクスにクールなボーカルが乗っかるR&B~クラウドラップ。1080p本の読者にはMagic FadesとYoung Braisedの中間と書いて伝わるか。でなけ…

Weird Magic『Ulu』(Beer On The Rug)

ベルギーのプロデューサーの、この名義では初となるフルレングス。基本となるスタイルはブレイクビーツ~IDMだが、異物感のある奇妙なジャケットのイメージ通りにところどころで謎のサウンドが顔を出す。その代表が1曲目の「Mjolgon」で……なんだろう、猿の鳴…

Lost Desert『Heterogen Infiltration』(Beer On The Rug)

1989年にリリースされたフランスのバンドの自主製作盤のリイシューらしい(脈絡のなさに驚く)。内容は女性ボーカルのダークなニューウェーブ~ポストパンク。ボーカルのパフォーマンスはクールというか平熱感があるが楽曲のアレンジは充実しておりバンド自…

折坂悠太『ざわめき』(ORISAKAYUTA)

日本のSSWの2ndミニアルバム。オーガニックでフレッシュなサウンドで奏でられる伝統的な歌謡曲。一聴すると清楚で素朴な印象ながらも、その実圧倒的な表現力を持つ歌唱がすばらしい。特大声量のボーカルから繰り出されるコブシの効いた独特の節回しには深い…

小袋成彬『分離派の夏』(Epic Records Japan)

日本のSSW/プロデューサーのデビュー作。内省的で現代的なR&B。自在な節回しの自由闊達なボーカル(高音部における表現力がすさまじい)と繊細かつ劇的なソングライティングが魅力で、思わずアメリカにはFrank Oceanがいるが日本には小袋成彬がいる(ロンド…

Stephen Malkmus and The Jicks『Sparkle Hard』(Matador)

元Pavementのフロントマン率いるバンドの2018年作。バンド・アンサンブルもストリングスなどのアレンジもビシッと決まった豊かなロック。「Future Suite」や「Refute」といった入り組んだ楽曲を、そうとは感じさせずにサラッと弾きこなすさまがカッコいい。…

Skee Mask『Compro』(Ilian Tape)

ドイツのDJ/プロデューサーによる2nd。霧のようなアンビエンスをまとった勢いのあるエレクトロニック・ミュージック。本作を構成する要素はIDMにジャングル、アンビエントにブレイクビーツ…という、90年代を彷彿とさせる伝統的なものばかりなのだが、それら…

Sarah Davachi『Let Night Come On Bells End The Day』(Recital)

非常に創作ペースの早いカナダのアーティストによる2018年作。メロトロンと電子オルガンによる柔らかなドローンとバロック音楽を組み合わせたアンビエント。オルガンの音色や少し籠った音響は教会のスピリチュアルで荘厳なイメージに繋がる。根底にあるのはÉ…

Pendant『Make Me Know You Sweet』(West Mineral Ltd.)

Huerco S.の名義で知られるアメリカのプロデューサーが新たに立ち上げたレーベルから名義を変えてリリースした作品。ダブ由来のズブズブな音響の中で奇妙な効果音が渦を巻く。基本、メロディーはなく、煙のような掴み切れない音の塊に包まれるのみなのだが、…

Noname『Room 25』(self-released)

シカゴ出身のラッパー/プロデューサーによるデビュー・スタジオアルバム。穏やかなムードのトラックに口語調の滑らかなフロウが乗るヒップホップ。サウンドはより生音志向になりリッチな響きに。抑制されたテンションによる洗練された表現が光る。脅迫的・圧…

Meitei/冥丁『Kwaidan/怪談』(Evening Chants)

広島で活動するアーティストのデビュー作。「失われた日本の雰囲気」へとフォーカスした幽玄なエレクトロニカ/アンビエント。空気感を大事にした繊細なエレクトロニカに日本の古い怪談を読み上げる音声が乗る。音声は淡々としたもので過度にエモーショナルに…

Kanye West『ye』(Def Jam Recordings)

アメリカのラッパー/プロデューサーによる8th。ジャケットに書かれた「I hate being Bi-Polar, it’s awesome(躁鬱でいるのは辛く、最高だ)」という文言が示すように分裂的な側面の現れた作品。アルバムは殺伐とした前半とソウルフルで祝祭的な後半(#4~)…

emamouse ✕ yeongrak『Mouth Mouse Maus』(Quantum Natives)

emamouseという日本のアーティストとyeongrakというニュージーランドのトラックメーカー?によるコラボ作。トラックはなんとも形容し難い…バイオハザードのゾンビのようなグロテスクな印象のあるアバンギャルドなものなのだが、そこに乗っかるメロディーには…

Earl Sweatshirt『Some Rap Songs』(Columbia)

OFWGKTAのメンバーでもあるラッパー/プロデューサーによる3rd。MadlibやJ Dillaに影響を受けたラフでヨレたビートが特徴のヒップホップ。トラックの持つ独特のグルーヴがすさまじく、集中して聴いていると悪酔いしそうになってくるため、どちらかといえばラ…

DJ Bus Replacement Service『いろんなDJMix』

イギリスのDoris Wooという人物(あのSurgeonの妻でもある)のDJ名義であり、オリジナルの楽曲は(おそらく)作っていないのだが、そのDJスタイルがあまりに個性的なので取り上げる。全てのギグで北朝鮮の最高指導者・金正恩のコスチュームを身に着けるとい…

AOTQ『e​-​muzak』(Local Visions)

今もっとも勢いのある島根のネット・レーベル「Local Visions」のカタログ・ナンバー1を飾る、謎の日本人?による(おそらく)デビュー作。「muzak」というワードが示すように機能的なヴァーチャル・ラウンジ・ミュージック。全ての曲が切れ目なく繋がってお…

AIKATSU☆STARS!『BRILLIANT☆STARS、STARS☆SHOWER』(Lantis)

日本のアーケードゲームおよびアニメ作品である『アイカツスターズ!』の楽曲をまとめたベストアルバム。MONACAが音楽を担当した前シリーズに引き続きエレクトロニックな質感のサウンドが特徴。おすすめ曲を挙げていきます…。「みつばちのキス」フレッシュな…