2013

Jerry Paper『Fuzzy Logic』(Digitalis Limited)

Orange MilkやHausu Mountain、近年はStones Throwなど多くのレーベルを渡り歩くアメリカのSSW、Lucas Nathanの2nd。ふわふわというよりはへなへななシンセ・サウンドがトレードマークのベッドルーム・ポップ。楽曲の構成はかっちりとしていて地味にリズムも…

James Holden『The Inheritors』(Border Community)

イギリスのDJ/プロデューサーによる7年ぶり2nd。モジュラー・シンセによる荒々しく破壊的なサウンドが特徴のプリミティブなテクノ。60~70年代の混沌と恍惚が同居したクラウトロックを彷彿とさせる楽曲群はまさしく型破りなパワーに満ちている。いくつかの曲…

HAPPLE『ドラマは続く』(マインズ・レコード)

ロックバンド・いなかやろうのメンバーによって結成された三人組バンドの1st。ユニコーンや小沢健二、果てはXTCやTodd Rundgrenとも比較される土岐佳裕のソングライティングがすばらしい。バンドによるアレンジもキュートなフックがいっぱいで、一度聴けば耳…

Galcher Lustwerk『100% Galcher』(Blowing Up The Workshop)

Blowing Up The Workshopという実験的なミックステープ・プロジェクトに提供された、自作曲のみで構成されたミックス作品。靄がかかったような上モノが特徴的といえば特徴的だが、それ以外の要素は非常にシンプルなハウス。シンプルなものの組み合わせでここ…

DJ Sprinkles『Where Dancefloors Stand Still』(Mule Musiq)

「ダンスフロアが凍てつくとき」と題された、日本の風営法改正へのリアクションの意味も込めたDJミックス作品。黄金期のディープ・ハウスを用いたウォーミーで多幸感あふれる作品で、特に#8「Forestfunk I』(No Damkkb Mix)」から始まる優しさと恍惚に満ちた…

DJ Sprinkles『Queerifications & Ruins: Collected Remixes By DJ Sprinkles』(Mule Musiq)

アメリカ出身日本在住のマルチメディアプロデューサー、Terre Thaemlitzのハウス名義によるリミックス集。弾性のあるベースと柔らかなパッドが耳を惹く、王道のディープ・ハウス…なのだけど、とにかく楽曲のスケールが大きい。長尺だが緩急の効いた展開で聴…

DJ Rashad『Double Cup』(Hyperdub)

シカゴを拠点としていたDJ/プロデューサーによる1st。ジューク/フットワークという、シカゴ発祥の高速のリズムに特化したダンス・ミュージック。イギリスのPlanet Muによるコンピ『Bangs & Works』で聴けたような荒々しさ・ストリート感は抑えられ、代わりに…

DJ Koze『Amygdala』(Pampa)

ドイツ出身のDJ/プロデューサーが自身のレーベルから出した2nd。ファットで柔らかな音遣いと多用されるボーカルが人肌の温かみを感じさせるポップなハウス。(おそらく)本人によるボーカルを始めとしたユーモラスな音がそこかしこで見られるが楽曲の展開は…

Deep Magic『Reflections Of Most Forgotten Love』(Preservation)

上述したAlexander Grayの、アンビエント志向の名義で発表された作品。今作では住まいを共にしていたらしいSean McCannとMatthew Sullivanに影響を受けたミュージック・コンクレートを展開している。楽曲は抽象的だがムードはポジティブで、(感覚的なもの言…

D/P/I『Fresh Roses』(CHANCEIMAG.es)

Sun ArawやPocahauntedのライブにサポートで参加したりもしている、LAを拠点に活動しているプロデューサーのAlexander Grayによる作品。雑多なサンプリング・コラージュにコロコロとした電子音をまぶしたサウンドは(全体に音域が高めなこともあると思うが)…

Chance The Rapper『Acid Rap』(self-released)

シカゴ出身のラッパーによる2作目のミックステープ。ドラム・ベースを差し置いて最前面に出てくるのがキーボードで、AORや教会音楽を連想させるその音色は都会的・祝祭的なイメージを作品に加えているのだが、そこにチャンスの粗野な(ソウルフルとも言える…

Boards of Canada『Tomorrow's Harvest』(Warp)

スコットランド出身のデュオによる8年ぶり4th。以前と比べて音数は少なく、テンポはゆっくりになり、音色も彩度の低い落ち着いたものとなった。結果、サウンドの快楽性と引き換えに臨場感・没入感が高まり、まるで長尺のSF映画のサウンドトラックのような印…

bo en『pale machine』(Maltine)

本名名義でゲーム音楽も製作しているロンドン出身のプロデューサー、Calum Bowenの1st。コード進行とリズムに凝ったマルチネらしいカラフルなポップで、チャイルディッシュかつどこかノスタルジックなメロディーが涙を誘う。日本語と英語が自然に同居する素…

Axel Boman『Family Vacation』(Studio Barnhus)

スウェーデン出身のDJ/プロデューサーによる1st。Roman Flugelの作品に通じるような上品さ・柔らかさもあるが、同時に華やかで開放的なフィーリングもある。それは特に冒頭の4曲において顕著で、流していると思わず部屋の窓を全開にしたくなる。中盤以降はベ…

Andrew Pekler『Cover Versions』(Senufo Editions・Fantôme Verlag)

~scapeからクリック/グリッチ通過後の感性でジャズを解体~再構築した作品を出していたアーティストの2013年作。非常に抽象的なエレクトロニカで、例えるならばサンプリング元を日本のコマーシャルから退屈なラウンジ・ミュージックに変えたシグナルウェイブ…

5lack×Olive Oil『5O』(高田音楽制作事務所 x OILWORKS Rec.)

ラッパーの5lack(S.l.a.c.k.)と音楽プロデューサーのOlive Oilによるコラボ作。5lackの自在なラップは言わずもがな、Olive Oilによる「繊細にして大胆、実験的にして郷愁的な、チルアウトでありながらビートがしっかりした、そしてドライでありながら叙情…