小袋成彬『分離派の夏』(Epic Records Japan)

 日本のSSW/プロデューサーのデビュー作。内省的で現代的なR&B。自在な節回しの自由闊達なボーカル(高音部における表現力がすさまじい)と繊細かつ劇的なソングライティングが魅力で、思わずアメリカにはFrank Oceanがいるが日本には小袋成彬がいる(ロンドンに移住しましたが…)、なんて言ってみたくなる。シンプルだが的確な、柔らかなビートに抒情的なギターとキーボードの乗っかる空間的なサウンドは10年代のR&Bにおける王道と呼べるもの。一曲選ぶなら「Daydreaming in Guam」。芸術的な歌詞も趣深い。