The Books『Thought for Food』(Tomlab)

ギタリストとチェリストのデュオによるデビューアルバム。弦楽器と音声のサンプリングを組み合わせた奇妙で愛らしい……ポップス? Matmos同様サンプリング主体のアプローチではあるが楽曲のスタイルは異なり、あちらがテクノだとすればこちらはフリーフォークといった具合。素材自体は日常にありふれたものだが、それらを組み合わせて未知の感覚を呼び起こす様はまるで魔法を見ているかのよう。サンプリング音声中の言葉を用いた物語的な演出もよく嵌まっている。00年代で最も“自由さ”を感じた作品の一つ。