Damon Eliza Palermo『Clouds of David』(1080p)

(プレスリリース翻訳)


 ロサンゼルスのDamon Eliza Palermoによるクラシックなアンビエントテープ。豪華で堅実なハウス/ディスコプロジェクトMagic Touchから一転、『Clouds of David』ではクリスタルな没入感に包まれ、軽いパーカッションと息を飲むような深青色の旋律で満たされた森のような雰囲気が展開されている。
 Palermoはすでに本名でニューエイジ系の作品をいくつか発表しているが(『Enigmatic Ocean』等の自家製CD-Rミックス)、このc58が彼のアンビエント作品の最初のフルリリースとなる。『Clouds of David』は、CocteauやKompaktのようなフィルターを通して振り返るだけでなく、自身がシューゲイザークラウトロックに興味を持っていた10数年前の大学時代に立ち寄ってみたものだという。
 Palermoは主にYamaha SU700を使用し、シンセ、サンプル、Komplete 10プラグインを用いて2週間ほどでこれら9曲を制作。本物のギターやピアノは使用せず、ポストロックの記憶、故郷ミシガンの冬、モノラルなメタモダン-ビジョン、iPhoneレンズを通して記録した季節や悲しみの表情を深く漂わせている。


霧に包まれ、ダブの海に沈んだ——言い方は悪いが「よくある」アンビエント。究極的にはその人の曲の趣味が出てくるエレクトロニカとは違って、気持ちのいい音ができればある程度曲構造は無視できるアンビエントは、特に多様な「気持ちのいい音」が出揃った現代ではなかなか特徴や個性といったものが生じにくいジャンルなのかもしれない(暴論です)。自分がどちらかといえば曲構造に興味のある人間(だからAngel 1などを評価している)なのでやや見る目が厳しくなっている。ドローンとダブ、フィールドレコーディングを組み合わせた王道のスタイルで、例えばLoscilやBrock Van Wey(Bvdub)のようなアーティストを連想する。