Aimee Mann『Bachelor No. 2 or, the Last Remains of the Dodo』(SuperEgo, V2)

アメリカのSSWの3rd。歌心のあるソングライティングが冴えわたる、ポップなバラード集。作曲はもちろん、Jon Brionを筆頭に多数のスタッフが関わったアレンジ/プロダクションも完璧だ。グランジ通過後の歪んだギターが主張するサウンドこそ大文字のロックだが、楽曲は哀愁のあるバラードで占められており、盛り上がりたい時というよりはパーソナルな時間によりフィットするだろう。90年代のオルタナティブ・ロックのバンドがBeck『Sea Change』を作ったら…という感じの作品である。憂いと皮肉、そして強い意志の込められたシリアスな作品はヒットを目指すレーベル(Interscope)から不興を買う。それを受けたMannはレーベルから作品の権利を買い戻し、自身のレーベルSuperEgoを立ち上げ、そこから本作をリリースする…のだが、これほど情熱的でドラマティックな楽曲群でも「売れない」と判断されることには興味深いものがある。