Yo La Tengo『And Then Nothing Turned Itself Inside-Out』(Matador)

アメリカのバンドの9作目。豊かな残響が生み出すやわらかなアンビエンスが特徴のインディーポップ。ほとんどの曲が聴き手を優しく包み込むような穏やかなフィーリングで満ちており、キャリアでも屈指の癒し系なアルバムである。唯一、#9「Cherry Chapstick」のみアップテンポなガレージロックを披露しているが、そこには聴き手をリフレッシュさせるという意図もあるのだろう。ドリームポップというジャンルの頂点の一つで、カドのとれた丸い音色とシンプルでスウィートな楽曲の相性は抜群だ。