The Flaming Lips『Yoshimi Battles The Pink Robots』(Warner Bros.)

アメリカのバンドの10作目。ソフトなサウンドで奏でられるファンタジックなサイケデリック・ポップ。プログラムされたストリングスとリバーブの繭の中で、安定したミドルなリズムに乗せてドラマチックで美しいメロディーが滔々と流れていく。柔らかな音像に身を任せているとやがてまるで子ども向けの感動的な映画を観ているような気分になってくる。バンドの丁々発止のやり取りも、聴き手を驚かせようという気概もないが、普遍的な良さの宿ったソングライティングがあり、その点で評価されているのだろう。