Arcade Fire『Funeral』(Merge)

カナダのバンドのデビュー作。メンバーの家族の死にインスパイアされたコンセプチュアルでエモーショナルなロック。テンションの振れ幅の大きい、スケールの大きな楽曲が特徴。穏やかに始まるオープニング「Neighborhood #1』(Tunnels)」も時間をかけて盛り上がっていき、やがては光に向かって駆け出していく。祝祭感と一言で片づけられないような、超越的でポジティブなムードがあり、本作を聴いたあとでは日常の光景もどこか特別なもののように映る。世界で最も豊かな感情の籠められたロックレコードだろう。