Junior Boys『Last Exit』(KIN)

カナダのデュオのデビュー作。R&Bをベースにした楽曲と控えめな電子音を組み合わせた、繊細でミニマルなエレポップ。十分な余白の取られた時空間にエッセンシャルな音だけが配置されていく様子には洗練された美しさがある。初聴時はそのサウンドがどこか薄味に感じられるかもしれないが、繰り返し聴くうちに(これで完璧なのだ)との思いがわいてくる。シンプルでありながら(むしろそれゆえに)ディープという、「引き算の美学」を見事に実現した珍しい作品で、数多あるエレポップの中でも独特な存在感を放っている。