Sufjan Stevens『Illinois』(Asthmatic Kitty)

アメリカのSSWの5作目で、2003年の『Michigan』に続きイリノイ州をテーマとしている。フォークからポップへ華麗な転身を遂げた飛躍作。複数のフレーズを有機的に組み合わせるアレンジの手腕はここで最高の冴えを見せている。多くの曲がポップに振り切れる一方で、従来の美しく繊細な曲は特別な輝きを放っている。「Casimir Pulaski Day」はその筆頭で、歌詞の示す物語を知れば涙を禁じ得なくなるだろう。深い背景のある作品だが、それを知らずとも「00年代最高のポップ作品の一つ」という地位は揺るがないだろう。