Portishead『Third』(Island)

イギリスのバンドの11年ぶり3作目。ダークな雰囲気のエクスペリメンタルなロック。不協和音、非同期なリズム、ぶつ切りにされたサンプリング、耳障りなエレクトロニクスなど、乱雑で攻撃的な音楽性を持つ。それは聴き手に寄り添った、整った音楽に触れてきた耳に強烈な傷跡を残すことだろう。楽曲の中心には変わらぬBeth Gibbonsの幽玄な歌唱があり、作品をポップの領域に繋ぎとめている。ポップと前衛の鮮やかな衝突が記録されたアルバムは、90年代におけるScott Walker『Tilt』のような独自の立ち位置を築いている。