Young Braised『Japanese Tendencies』(1080p)

(プレスリリース翻訳)


 ラップゲームの現時点では、バンクーバーを拠点とするラッパー、Young Braisedの始まりがありえないものであるかどうかは判断しがたい。Jaymes Bowman(IRLで知られている)は最初、キリスト教の家庭で育った後、P.O.Dのように時々ラップを挟むバンドを通してラップにのめり込んだ。その後、これがラップというものだと知り、クリスチャン・ラップを聴くようになった……偶然にもKazaaP2Pファイル共有ソフト)でDMXの曲をダウンロードするまでは。Jadakissはすぐにお気に入りのアーティストとなり、Nasは彼の兄(時々コラボレートするStrawberry Jacuzzi)が自宅で作った「クリーンエディット」によって、すぐにKia Magentisファミリーの一員となった。(Kia Magentis:韓国のKIA社が生産するセダン車)
 最近では日本人プロデューサーのTerioとこのカセットのためにリンクしつつ、Braisedはクラウドラップやカラフルなおふざけをしている。これまでの彼のコラボレーションはインターネット上でのものが多かったが(KarmellozやNeu Balanceなど)、Japanese Tendenciesではバンクーバーのハウス/ダンス集団Mood Hutともリンクしている。これらのトラックはダウンタウンイーストサイドにあるMood Hutで録音されたものであり、そこで彼はバンクーバーのDJたちに混じって頻繁にライブパフォーマンスをしている。
 Young BraisedはFriendzoneやClams Casino、Main Attrakionz、GuMMy†Be▲Rのネット領域などの新しい真摯なヒップホップの恩恵を受けつつ、しかしそこにはAntwonやLil Ugly Maneのような愛すべき大言壮語も存在している。
 この作品に着手したのは彼が初めて村上を読んだ春だった。現代のジャポニズムに対するそういった言及は極端なおふざけであり、またそれはスナック菓子、James Gandolfini(アメリカの俳優)、女の子、太平洋岸北西部、そしてもちろん豊富なドラッグについてのラップと混ざっている。
 『Japanese Tendencies』は「Gold Watch」におけるLupe Fiascoのラインから名付けられたが、それは彼自身の無意味なこだわりとプロセスを反映したものでもある。多くのマンガアバターサウンドクラウドユーザーと同様に、日本文化というよりはそれが商業化されたもの(デニム、デザインなど)との関わりの中でBraisedが導き出した主な性質(tendency)は「より思慮深い存在になる」ということだった。


元のプレスリリースの文章(上記翻訳文の元となる英文)が非常に難解で、作業を苦行と感じ始めたきっかけとなった作品。自分の能力の低さによるが、日本語でも英語でもいまいち意味がわからない。音楽性は本作のトラックを手掛けたTerio(@terio013)の趣味?がよく出た、モールソフトのような快適なヴェイパーウェイヴとGファンクの中間といった印象。日本語の音声のサンプリングが特徴的で、ヴェイパーウェイヴ黎明期の作品とはかなり通じる部分がある。「ラップがある」という一点だけでもカタログの中では異色の存在だ。今作のリリースが、今までも謎だったレーベルの印象が、より意味不明な領域へと突入した瞬間だった……のではないかと想像する。