AT/NU『Psi Grove』(1080p)

(プレスリリース翻訳)


 Igor IvanovとSami BlancoによるAT/NUプロジェクトは、超越に焦点を当てたアンビエンスと、トランスに影響を受けた探求的でハイブリッドなテクノから成っている。彼らのサイバー回帰的なデビュー作『Psi Grove』のその両面は、同じ3Dレンダリングの森林地帯にしっかりと位置し、ガラス質でぼんやりしたエレクトロニカ的なアプローチを再処理することでリスナーの神経振動エネルギーを「減衰」させることを意識課題として共有している。
 アルバムの大部分はモントリオールのグリフィンタウンにあるSamiの屋根裏部屋で(2週間で)制作されたが『Psi Grove』のデジタル化された天空の感覚は、イゴールニュージーランドで過ごした1年間に負うところが大きいようだ。往年の野外レイヴ、街角の「脱法ドラッグ」、自由で文化的な雰囲気の残り香が、「Tennu」などのトラックの宇宙的質感と同じように「Shift」のブレイクビートを通じて響きわたっている。
 「Nitewavs」や「Dro-gen」のようなサウンドスケープは、星のような前方に広がるシンセのドローンで照らされる一方、「Lodi」のようなElectribe主体のトラックとその寺院的な残響音は、大気中のシダ植物に覆われた風景と独立後のニュージーランドの穏やかなエネルギーを示唆している。
 『Psi Grove』の合成された生態系は、狭い認識からの多元的・全体的な離脱に焦点を当て、変位の統一された感覚のための幅広い没入を受け入れ、その過程でStellar OM Source、The Focus Group、Wolfgang Voigtからヒントを得ている。
 Igorのもう一つのプロジェクトであるWindowは、アトモスフェリックなジャングルとテクノの実験によって同じように洗練されたハイブリッドなゾーンを通る一方で、Samiの関連するプロジェクトであるTemple Volant、Nacomi、Mi Casa Tu Casaの作品ではより捩じれたエレクトロニクスが探求されている。


神秘的・瞑想的なトランスミュージック。サイケデリックトランス~ゴアトランスにニューエイジアンビエントのエッセンスを加え希釈したようなイメージ。個人的にサイケ~ゴアトランスに括られる音楽はあまりに濃すぎて腰が引けてしまうところがあるのだが、本作はより優し気な、チルアウトできる瞬間が多く取られており、日常生活にもフィットするレベルに濃度が調整されている。ドラムンやジャングルの要素もあるが、それらは序盤に少し出てくるのみで、本作の大部分は覚醒と鎮静の中間のような領域を漂っている。ところどころで鳴らされる民族的な音色や自然を想起させる音がいい味を出している。