Kitkkola『Sarah's Rocks』(1080p)

(プレスリリース翻訳)


 「星の光、飛行機の光、街の光、ヘッドライト、スポットライト。空を舞うゲットーバード。行き止まりの通りの廃ビルの扉にラクガキされた"KITKKOLA"。空っぽの倉庫と虚無の反響。空っぽの倉庫と、新車の純正スピーカーの反響。トランクでガタガタいう低音。窓から投げ捨てたり、後部座席に投げ入れたり。崩れたコンクリートの隙間の音。隣のパーティー。来年の夏。今年の夏。来年の冬。今年の冬。今、この瞬間。ライブ・イン・デトロイト2014。」
 デトロイトのIce Cold Chrissy(別名Coyote Clean Up)のサイドプロジェクトであるKitkkolaは、今やとても分かりやすくメロディックなハウスとテクノの巨大なディスコグラフィーを蓄積している。瞑想的なグルーヴとテクスチャーにこだわったハイブリッド・ハウスを収録したこの80分いっぱいのカセットテープは、Chrissyの強みである写象主義的な細部調整と伝統的なダンスフィーリングを基盤に、常に散漫で開放的に仕上がっている。


ロディアスで馴染みやすいテクノ/ハウス。全体に安定したクオリティを備えているが、サウンド面での強い個性のようなものは見受けられない。聴きやすいが匿名的、という意味で少しライブラリー・ミュージックのようなイメージも(ニュースのBGMで流れてそうだ)。とはいえ曲単位で見れば輝くものももちろんある。個人的には、もう少しコンセプトに沿って曲を厳選し(現状はほぼ80分みっちり詰め込まれている)、またユニークなアートワークを付けてあげればまた印象は変わったのかな、と勝手に思っている。