(プレスリリース翻訳)
ポートランドの重要なエレクトロニック再解釈家2人による、超深夜の街明りのコラボ作品。この60分18曲は全てライブで、マリファナとコーヒー、そして大量のピンクグレープフルーツのラクロワ(アメリカの炭酸水ブランド)を燃料とした数回のセッションから生まれた。
『Zirconia Reign』は、ポートランドに住み、荒涼とした殺風景な郊外で公務員として働いていた彼らの経験から、心象風景と精神的なつながりを有機的に表現したものである。大量のシンセ、シーケンサー、ドラムパッドで「オルト」のメッカとして名高いこの場所の都市/郊外の分断を繋ぎ、平凡さに融合する記号のポストインターネットオアシスに入り浸る;ビデオゲーム、過去と現在の電子音楽、カスケーディアン(アメリカ北部にできるとされた仮想の国家?の住民?)の理想郷に反映される仮想/現実意識のパイオニアである。
氷のようなR&B、未来的なファンク、そして最近のレイブ/エレクトロニックの領域から、なじみはあるが遠い理想をモーフィングした『Zirconia Reign』の奇妙な経験は、ポストアイロニックで、崇敬と高光沢なシミュレーションを浴び、充満する曇り空による集団的孤立で磨かれたものである。
2017年の『Zirconia Collapse』まで続くジルコニア三部作のオープニングとなる作品。Jam City『Classical Curves』のような艶やかでサイバーなサウンドで統一されており、どこかSF的な曲名も含めて独自の世界観が構築されている。R&Bとタグ付けされているが歌・メロディーの要素は少なめで、聴き手のイメージを膨らませるような演出・音遣いが多い。有り体に言えば映画やゲームのサウンドトラックが近いだろう。全体的にミステリアス(というか小さくまとまろうとしていないだけか)なレーベルにあって確固とした世界観を持つ、際立ったリリースだ。