MCFERRDOG『Club Amniotics』(1080p)

(プレスリリース翻訳)


 Max McFerrenは、元気いっぱいにはしゃぐテクノで、ブルックリンやチャイナタウンのロフトやクラブで特に遅い時間帯の定番となっているが、今回は簡素だがぜいたくな質感のMCFERRDOGプロジェクトの初お目見えとなった。ひねくれた楽観主義とPower 105.7(アメリアーカンソー州のラジオ局?)の爆音で構成された『Club Amniotics』は、幻想的で生き生きとした奇妙な実験と、非常に感情的で開放的なクラブマナーの両極端を行き来している。
 サーカスEDMや万華鏡のような伸縮性のあるテクノに夢中になっていても、正直すぎる感情やストレートな陶酔感に襲われていても、MCFERRDOGはこの自覚以前・クラブ以前での自我形成領域において全く奔放なのである。オルタナティブなPanorama Bar(ベルリンの高名なナイトクラブ)カルチャーを空想し、特に「Thesaurus Mode」のようなスポーティなバウンサーは、よりクリアなテクノのテンポに乗り、勢いのあるクラブの記号を超メロディックなASMRラブストーリーに加工している。また、 「Rosewater」のストップ/スタート・ファンクや少し酔っ払った「Vulgar Physics」がバウンシーでストレートに奇妙である一方、タイトルトラックでは突然変異のネオ・レイヴ感覚が高まる(本作の最も官能的な瞬間の一つである)。
 このような二面性は、McFerrenがDJ RichardやYoung Maleのような人と交流する一方で、同時にGobbyやPhysical Therapyのようなアシッドフリークとウェアハウスでプレイしていることを説明するのに役立つかもしれない。MCFERRDOGのストロークは幅広い——良いアイデアの敷居を飛び越え、ポストアイロニックな現実と抑えきれない想像力、ファンタジーニューエイジのイメージで最近の若者を再び解放する。


少しミュータント感のある伸縮自在のテクノで、レーベルとしては久しぶりにポップで楽し気なリリースとなった。ファットで暖かな音色が空間をびよびよと跳ね回り、そこかしこで鳴らされるファニーなサウンドが聴き手の頬を緩ませる。安定的なビートのあるかっちりとしたトラックもあるが、より魅力的なのはそれこそアーティスト名に入っている“犬”のように元気いっぱいにはしゃぎ回るトラックだ。楽曲としての完成度と予測不能性がもたらすワクワクという、一見すると相反しそうな要素を両立した、非常に魅力的な作品だ。