Young Braised『Northern Reflections』(1080p)

(プレスリリース翻訳)


 ブリティッシュコロンビア州バンクーバーを拠点とするラッパーYoung Braisedの1080p第2弾『Northern Reflections』は、太平洋岸北西部にインスパイアされた36分間のヒップホップ作品で、西海岸のコラボレーターKarmellozとa i r s p o r t sによる物憂げで抽象的な制作を通して、彼独特の新しい感覚が浮かび上がっている。
 これらの穏やかで流動的な陶酔は、昨年の『Japanese Tendencies』に見られる楽観的で斜に構えたリリックのイメージで、同様に彩度が高くメロディアス。ユーモアと優しさの間を行き来しながら、伝統的なラップの手法にとらわれず、芸術的な手法(特に婚約者ソレダ・ミュオズとのライブパフォーマンス)を取り入れることに重点を置き、Braisedは明晰でハイブリッド、ジャンルの混在した活動をさらに続けている。
 昨年冬、ニューヨークとモントリオールで一時滞在した後、常に進化し続けるアーティストが、西海岸の生活への感謝を新たにした1年分の録音を収録した作品集。最近の婚約、高校への進学、バンクーバーのハウス/テクノ・シーンとのつながりの強化によって、さらに進化を続けている。
 Braised(本名Jaymes Bowman)の静かで実存的な思考は、沈んだテクスチャーと気化したシンセのドリフトと組み合わされ、バンクーバーのガラスの高層ビル群と近隣の山脈を背景に、男性性、共犯関係、食べ物についての概念を探求している。
 『Northern Reflections』は、コラボレーションと自己啓発の両方の例。超リアルで、リサーチとエンターテイメントが同居するこのクリスマス・リリースは、リスナーだけでなく、Young Braised自身へのギフトでもある。
 カセット版には、フィジカルオンリーのボーナストラック「Still Tippin 2014 (F. Strawberry Jacuzzi)』と『Outside the Club (Freestyle)」が収録されている。


前作の、コメントに困るうさん臭さのジャケットから一転して超抽象的なジャケットへ。同時に音楽性も霞に包まれたぼやけたものへと変化した。AMDISCSからIDMとヴェイパーウェイヴを混ぜ込んだハイブリッドなテクノをリリースしていたa i r s p o r t sと、1080P12を手掛けたKarmellozをプロダクションに迎えたトラックは、まるでCO2のスモークのようにひんやりと足元を漂っている。ラップの弛緩した感じは変わらないが、ミックスのおかげか以前よりもトラックに馴染んでいる。結局歌詞がわからなければ作品を正しく評価することはできないのだが、曲名や曲調からするに哲学的な内容なのかもしれない。