Project Pablo『I Want To Believe』(1080p)

(プレスリリース翻訳)


 バンクーバー出身のプロデューサー、Patrick Holland aka Project Pabloのハウスミュージックは、この秋にモントリオールに移住して初めてリリースされたデビューフルレングスで、爽やかで、ベーシックに回帰したものとなっている。
 『I Want To Believe』は、リトル・イタリーを青く染めて歩く。つまり、George BensonSadeSteely Dan(『Aja』)のような超リアルなタイプのスムースさにインスパイアされた、チャンキーなディスコとハイブリッドハウスが、カフェカルチャー的なグルーブハウスを新しく誠実な文脈に置き換えた作品だ。
 Project Pabloの明るく深いイージーリスニングは、力強いがゆるいパーカッション、重厚なベースグルーヴ(モントリオールのバンドNoni WoのJeremy Dabrowskiが一部を担当)、非常にキャッチーで口笛が似合うメロディフックによって構築されている。例えば、オープニングの「Sky Lounge」では、ディスコ風の4/4拍子で残響のあるシンセサイザーがフェードし、「In The Mat」では、シャッフルしたテンポにヴォーカルの「woop」が散りばめられ、ダウンタイムには瞑想的な漂いがある。
 ソリッドで機能的なダンス・コンポーネントに焦点を当てた『I Want To Believe』は、テープアウトした奇妙なシンセリードが散りばめられ、随所にカスケードパーカッションとメロディックキーボードがたゆたうカプチーノクリンクに似たおふざけがあり、「ライフスタイル」の理想像が、クラブやキッチンで過ごすための豊かでテープアウトしたムードに溶け込んでいる。


爽やかな青色のジャケットと、その見た目を裏切らない快適で安定したハウスという音楽性で、「バンクーバー=浮遊感のあるハウス」というようなイメージの定着に一役買っている作品。まず1曲目の曲名を見てほしい。「Sky Lounge」ですよ。曲名からして気持ちいいことが確定している。これは自分も含めた話ですが、1080pのパブリックイメージの中心的なものっておそらくこういう快適で爽やかなエレクトリックサウンドであって、またこれがラウンジや、もう少しパーソナルなリビングルームのような空間にフィットしたからこそレーベルがこれだけ人気になったのだと思う。とはいえこれって10年代のインディーにおける全体的な傾向のひとつであり、そこから逸脱するにはまたさらに独自の個性が必要になるのだとは思うが…。