CFCF『The Colours Of Life』(1080p)

(プレスリリース翻訳)


 モントリオールのMOR研究家CFCF(aka Mike Silver)はここ数年、ポップとニューエイジの過去のラグジュアリーな音楽を明確に、やさしく修正・更新することに磨きをかけてきた。7月にDriftlessからリリースされた『Radiance & Submission』に続く、41分の『The Colours of Life』でCFCFは、Phil Collinsの「Hand in Hand」やWindham Hillレーベルのかつての皮肉な高揚感をマントラのように、現代のテクスチャーの入口として機能させ、新しい真摯さを持つ驚異的に静かなピークへとカーブしている。12曲からなるこの作品は、 Silver自身が語るように、極めてリアルな物語を紡ぎ出す。
 「この作品を書き始めたのは2011年の前半。僕はパリで当時のガールフレンドとワンルームの小さなアパートに数ヶ月住んでいて、ラップトップ以外のちゃんとした音楽機材は持っていなかった。Windham HillやInnovative Communicationsらへんの、本当にありふれた音楽にのめり込んでいたんだ。『Colours of Life』の最初のリフは、Phil Collinsの『Face Value』収録の「Hand in Hand」にすごくインスピレーションを受けてる。この曲は、Roland CR-78のループと汎地球的な楽観的音色で構成された、超シンプルで陳腐な曲なんだ。で、そういう音楽のレコードを作るというアイデアを思いついた。自分が聴いているものをたくさん取り入れて、待ち時間のBGMのような最高に心地よいもので、ある意味では許容できる限りでチーズの端まで押しやろうとしながらもとても誠実で、皮肉ではなく実際に純粋に楽しい音楽であるような、そんなレコードを作ろうと思いついたんだ。
 最初は1曲だったんだけど、何かのきっかけでその1曲が別の曲に変化して、さらに別の曲になって、最終的には12曲の純粋なポップインストゥルメンタルが互いにつながっていくことになったんだ。1曲あたり2〜3分なのを大きな構成にすることで、1曲では追求できないような、小さいシンプルなコード進行やメロディーを書けたんだよね。ここで迷走し、ここで具体的になる、ということができた。前述のPhilのトラックやManuel Gottsching、Suzanne Ciani、そしてたくさんのバレアリックトラックなど、明らかに影響を受けているものがたくさんあって。だからこの作品作りは本当に楽しくて、その夏に完成させていくつかのレーベルに売り込みに行ったよ。
 最終的には、RVNG Intlの友人であるMattに送って、2010年にEP『The River』をリリースした。彼は、いくつかの曲に他のシンガーを迎えるというアイディアを持っていた。そして本当に素晴らしい人たちが参加してくれたんだけど、ここでは詳しく言わないけど、残念ながらそのプロジェクトは失敗に終わったんだ。そのコラボレーターの一人、Dip in the Poolは、80年代に日本で活躍したイケてるポップバンドで、信じられないほどスイートで、このレコードのために素晴らしい曲を2曲書いてくれた。彼らの作品の一部は、ここでも『Rain Dance』と『Intimacy』というムーヴメントに残っていて、僕が書いたコードに木村達司が手を加えてくれて、ほんとにすごく良くなったんだ。」 


本作についてはプレスリリースでアーティスト自身が細かに語っている(のであまり書くことがない)。上で実際に名前が挙げられているがManuel Göttschingの『E2-E4』をWindham Hill風に作り直したような作品で、便宜上12のトラックに分けられているがそれらは全てシームレスに繋がっている。驚くべきはその滑らかさと完成度で、細部まで隙なくぴかぴかに磨き上げられている。日本でも人気の作品で、PLANCHAから独自にCDがリリースされたほどだ。2019年には本作の続編とされる『Liquid Colours』もリリースされている。