Trust Image『Rory's World』(1080p)

(プレスリリース翻訳)


 NYCのプロデューサー、Trust Imageによるハイブリッドな理想と夢に満ちた雰囲気のソウルフルなローラー。中西部のルーツを感じさせるファンタジックなジャングルテープ 『Rory's World』では、イマジネーションとナイーブさがHDドラム&ベースに加工され、初期のGood LookingのバイブスとCloud 9のアップリフターが耳を傾けるだろう。
 95年に発売されたMetalheadzにインスパイアされたカセットテープのパレットを発展させたこの新譜は、ゲットーハウスやデトロイトゲットーテックの系統に加え、最近のジャンルの曖昧さが感じられる。デトロイトにインスパイアされた 『Doing U Wrong』は、『Dream Cast』の前半にあるダンスマニア風のドラムにつながり、スピリチュアルなメロディーを織り交ぜた作品となっている。『Sun』は午前7時の野原でのレイブ。その野原は純粋に想像上のもので、ファミコンの 『Little Nemo's Dreamworld』のNESセッションとFruity Loopsの制作の合間に、中西部のベッドルームプロデューサーが思い描く夢のようなものだ。
 『Rory's World』には、同じように目を見開いた創作の陶酔感がある。彼のドラム編集は、Nu-GrooveやKMSといったレーベルの奇妙なクロスオーバーレイビー/ブレイクビーツハウスに似ており、10年(オンとオフ)にわたるジャングルでの熟練を経て、このカセットではクレイジーなドラム編集を控え、テクニカルになりすぎず、頭でっかちになりすぎず(“something people in Moschino can fuck with”(Moschinoを着た人たちがヤレるもの))を避け、最大限に洗練され、夢のあるものを目指している。


今まで1080pでも大々的にフィーチャーされることのなかったジャングルというジャンルにフォーカスした作品。個人的にジャングルは、その神秘的なコードワークで好きになった側面が強くあるのだけど、今作でもその鎮静と高揚のあいだを突くようなコード感覚は健在だ(ジャンル全体で特定のコード感覚が共有されているのが興味深くはある)。世間一般でのジャングル像を見事に体現した王道かつトラディショナルな出来で、正直に言えばあまり冒険的な要素はないのだが、(当時)最も勢いのあったレーベルのひとつから、ほぼ無名の新人アーティストが、しかもアルバム単位で作品を出したということ自体が、ジャンル愛好者にとっては大きなニュースであったと思う。