Luciano『Tribute To The Sun』(Cadenza)

ヨーロッパとチリを股に掛けるDJ/プロデューサーの2nd。Ricardo Villalobosに通じる細かなグルーヴのミニマルテクノをベースに民族音楽的なサウンドを加えたもの。女声のボイスサンプルが乱舞する躍動的で忙しない1曲目を乗り越えると、より軽やかでリラックスした、スピリチュアルな音世界が広がっている。穏やかなボーカルと小気味いいパーカッションに包まれるキックレスの#3「Sun, Day And Night」、ハンドパンとアルプホルンが舞い踊る#5「Hang For Bruno」など、牧歌的で開放感のあるトラックはひたすらに心地良く、流しているとだんだん風光明媚なリゾート地へと旅行に来たかのような気分になってくる。ミステリアスなインタールードの#8「Pierre For Anni」以降はそれまでとは一転して不穏でダークなトラックが並ぶ。アルバムというまとまりで捉えるとこの部分だけ浮いているように思えるが、全体としては「太陽への捧げもの」という意のタイトルにふさわしい、明るく爽やかな作品集となっている。