Beer On The Rug

Dang Olsen Dream Tape『Mello Mist』(Beer On The Rug)

オークランドを拠点とするアーティストの三作目。Percival Pembrokeと同様にアンビエントとIDMに相通じる快適なサウンドが基調なのだが、そこに明確にダブ・レゲエのマナーを取り入れているのがユニークなポイント(ジャケットの緑色のスマイリーやウィード…

Graham Kartna『Ideation Deluxe』(Beer On The Rug)

カナダはハミルトンのマルチメディアアーティストのBOTRデビュー。初期のJerry Paperを連想するようなひしゃげた音色のシンセと、約一小節で機敏に微妙に移り変わっていくコードが特徴で、コードに合わせてメロディーも常に展開しているため音楽的には非常に…

Umanzuki『Nemi』(Beer On The Rug)

フリージャズ→Black Dice的なエクスペリメンタルと音楽性を変遷させてきたらしいイタリアはフィレンツェの三人組の作品。かつてディアナ神殿があったネミ湖の、宗教的な伝説や儀式にインスパイアされたコンセプト作とのことで、現代的なポップスとは無縁の神…

C V L T S『A U D I A L / S』(Beer On The Rug)

主催者によるレーベル3作目。特定のサウンド・スタイルだけで作品全体を作り上げていたこれまでとは異なり、今作はすべての曲で音楽性が異なっているのが特徴。曲が変わると同時に空気も変わり、新鮮さを感じると共に興味も喚起される。しかし微妙なまとまり…

Euglossine『Remix Playground』(Beer On The Rug)

『Complex Playground』が人気だったのだろうか、レーベルで初めてリミックス盤が企画され、フリーダウンロードで配布されていました。元のタイトル曲を、名前の通り音の「遊び場」として7名のアーティストがリミックス。サウンドを拝借し新しい曲を作る・曲…

Percival Pembroke『Pembroke Autumn/Winter Catalog』(Beer On The Rug)

今までの作品のクレジットを見た感じではpercyという人物が中心らしい?アーティストの作品。シンプルなコードの循環で聴かせる素朴な小曲集で、30分弱の時間に18曲が詰まっている。サウンドはアンビエントとIDMの中間の親密なゾーンにあり、基本的にはドロ…

Collin McKelvey『First Accents Of A Rustic Flute』(Beer On The Rug)

「素朴なフルートの最初のアクセント」なるタイトルは音楽性にどれだけ関係があるのだろうか。サンフランシスコの学際的なアーティストによるミュージック・コンクレート作品。A面では機械的なノイズをバックに異国のラジオのようなものがうっすらと鳴らされ…

Eyeliner『Buy Now』(Beer On The Rug)

Disasteradioとしても活動するニュージーランドのLuke Rowellの作品。ひと昔前なら「古臭い」「ダサい」とされたような、機材むき出しのペラペラ?バキバキ?なサウンドが特徴のシンセポップ。本作をヴェイパーウェイヴに括ることには個人的に少し違和感があ…

Seabat『Synthus』(Beer On The Rug)

NYC/LAの“スペース”ミュージックデュオの作品。70年代のプログレを彷彿とさせる10~20分の大曲を中心に据えた3曲構成。約3分の#1はアルバム全体への景気づけ。大曲のうちより馴染みやすいのは定まったリフやリズムが先導してくれる#2のほうだ。ベースのリフ…

Exael『Actaeon』(Beer On The Rug)

BOTRからの2作目。全4曲でトータル20分弱のEPサイズ。濃厚なドローンはそのままに、一部で輪郭の取れないくぐもったキックを中心としたビートが導入され、ダブ~テクノ方面へ舵が切られている。とはいえ、そのビートもリズムの明瞭でない不定形のものであり…

Pulse Emitter『Digital Rainforest』(Beer On The Rug)

ポートランドのシンセサイザー・マスターのBOTRリリース。変幻自在の合成音声を活かしたニューエイジ~アンビエント。当然ではあるが自然界では聴くことのない極めて人工的なサウンドで、その研ぎ澄まされた音色はガラス細工のような工芸品……を音に変換した…

Euglossine『Complex Playground』(Beer On The Rug)

レーベルSquiggle Dotも主催するアーティストTristan Whitehillの作品。冒頭からPat Methenyめいた音色のギターに驚かされるが、音楽性にも通じるところがある。言ってしまえばフュージョンバンドがゲーム音楽を演ったような音楽で、本作には小気味いいアン…

Hakobune『Sinking Stars』(Beer On The Rug)

兵庫県のアンビエント作家で、Tobira Records(レーベル/レコードショップ)のオーナーでもある依藤貴大の、情報*1によれば51作目(!)となるアルバム。引き続きのドローンアンビエント作品だが、こちらはGASを彷彿とさせるような、気が遠くなるほどに分厚…

Fluorescent Heights『Relaxing In The New World』(Beer On The Rug)

スウェーデンのアンビエント作家Henrik Stelzerによる作品。南の島的なジャケットに『Relaxing~』なんて直球なタイトルで、内容も各面にちょうど10分のトラック1曲ずつのみというストレートなスタイル。音楽性はアナログな質感の暖かいドローンアンビエント…

YYU『Room Music』(Beer On The Rug)

2年のインターバルを挟んでのレーベル二作目。メインの楽器(ギター)もゴーストリーな音響も変わらないが、作曲のスタイルには変化があり、ジューク/フットワークに通じる痙攣するようなリズムやヴェイパーウェイヴ的なループ遣いが失われている。というか…

De Tuinen『Minor Function』(Beer On The Rug)

オランダのKoen van Bommelの、地元のヘルスケア企業から拝借したDe Tuinenという名義での作品。ファウンドサウンドを取り入れた抽象的なアンビエント。全体に一貫するのはとりとめのなさ・漂流する感覚であり、そのサウンドはインダストリアルからダブテク…

KHF『Half Skewered With Asian Carriers』(Beer On The Rug)

United WatersやUtereyeといったユニットでMouthusとの関わりが深いブルックリンのPatrick Coleによる作品。奇妙な音やノイズがとつとつと鳴らされるわかりやすくエクスペリメンタルな作風。音の組み合わせである「曲」というよりは音そのもののおもしろさで…

Looks Realistic『VA​/​A』(Beer On The Rug)

レーベルMoss Archiveを主宰するシンセ奏者のBastian Voidと、ローファイ志向のSSWという側面もあるRyan Kayhartのデュオによる実験的なシンセ音楽。特筆すべきはその構成力で、おかげで長尺かつエクスペリメンタルな音像でありながらもポップに聴けてしまう…

Susan Balmar『Signum』(Beer On The Rug)

自身のレーベルPsalmus Diuersae(日本の実験的なシーンとも繋がりがある)を運営しつつ、/fなど多数の名義で作品を大量に発表するアーティストのBOTRからのリリース作。おぼろげなビートが入ってややヒップホップっぽくなる場面もあるが、基本的にはグリッ…

Endo Kame『Music 4 Eon Green』(Beer On The Rug)

深海を思わせるジャケットとなにかが重く轟く圧迫的なオープニングが印象的な一作。全ての曲がシームレスに繋がっているミニマルテクノ作品で、例えば『fabric 36』のようなオリジナル曲のみで構成されたミックス作品のように楽しめる。馴染みのいいメロディ…

Palm Highway Chase『Fantasy Recordings』(Beer On The Rug)

ヴェイパーウェイヴとの関わりが強いレーベルのため、作品に対してもなんとなくそういう目で見てしまうが、今作のクリアーなサウンドと爽やかなフィーリングは明らかに蒸気とは無縁のものだ。奇妙さや悪ふざけへの志向がまったくない、純粋な楽しさにフォー…

Angel 1『Angel Activate』(Beer On The Rug)

Angel 1名義では既に別レーベルから作品を出しているが、ここにきて『Angel Activate』なる意味深なタイトルを持ち出すのは気合の現れだろうか。IDM的なスムースなサウンドと構築的な楽曲が持ち味のエイリアスで、このスタイルが肌に馴染んだのか、以降はこ…

C V L T S『Intentions』(Beer On The Rug)

ジャケットが本当に意味不明なレーベル主催の新作。音楽性に大きな変化はなく、ギターとキーボードを中心にゆらゆらと進行していく。A面はシンセとギターが生み出す蜃気楼のようなぼやけた空気の中を、やがて4/4の朴訥なビートがゆっくりと歩みだす。ムード…

Torn Hawk『Fist』(Beer On The Rug)

こちらも多作な映像作家兼アーティストのLuke Wyattによる作品で、クラウトロック+インダストリアルなサウンドで退廃的な世界観を提示する。本作の少し前にリリースされた『10 For Edge Tek』に直接通じる音楽性だが、トリップを目的の一つとしていたそちら…

Headboggle & Vibrating Garbage『S/T』(Beer On The Rug)

Spectrum Spoolsからもリリースする非常に多作なHeadboggleと、負けじと多作なGreg Gorlen(名義も無数にある)のタッグによる破壊的なテクノ。Gregのアパートでのセッションを元に作られている。同じSpectrum~から作品を出しているContainerに通じるような…

PrismCorp Virtual Enterprises『ClearSkies™ & Home™』(Beer On The Rug)

VektroidのBOTRからの最終作で、二枚同時にリリースされた。テーマは往年のMIDI音源。『ClearSkies™』にはヤマハ謹製のMIDI音源が、『Home™』ではそれに加えてGeoCitiesやRolandのMIDI音源に、既存のポップスのMIDIカバーが収録されている。ヤマハの楽曲はキ…

Digital Natives『It's All Point Blank』(Beer On The Rug)

Housecraft Recordingsの主催でもある非常に多作なアーティスト(2012年にこの名義だけでも10作以上リリースしている)Jeffry Astinによる作品。企業のCMのようなポップでキャッチーなループを、変調させたりノイズを被せたりして不気味に加工したもの。商業…

Exael『Ghost Hologram』(Beer On The Rug)

後にHuerco S.らと共に現代的なダブの流行を形作るExaelの1stアルバム。ここでは初期のOneohtrix Point Neverから素朴なアルペジオを除いたようなアンビエント~ドローンを展開している。特徴は全体に敬虔な、スピリチュアルな空気が満ちていること。もろに…

YYU『TimeTimeTime&Time』(Beer On The Rug)

直近の蒸気な流れを断ち切るようなリリースだ。デジタル世代のノスタルジーや不可思議なオリエンタリズムのようなものはここにはない。どこまでもパーソナルかつ内省的な……人知れず作られたアシッドフォークのような佇まいの作品だが、そのサウンドにはリア…

情報デスクVirtual『札幌コンテンポラリー』(Beer On The Rug)

Vektroid=Ramona Andra Xavierの三度目のリリース。国際交流的なものがテーマとしてあるらしく*1、それはジャケットや曲名からもなんとなーく感じられる。内容も国際的というか公共的な志向があるようで、David Sanbornなどスムーズ・ジャズやフュージョン…