Sam Prekop『Who's Your New Professor』(Thrill Jockey)

シカゴを拠点として活動するアーティストのソロ2nd。穏やかな空気のジャジーなロック。序盤こそアップテンポで活気があるが、本作の真骨頂は中盤以降のフラットで自然な流れだ。湿ったエモーションのあふれる名曲#4「Two Dedications」を過ぎると、以降はどこまでもリラックスした自然体の音楽が広がっている。その音の身体性だけを抽出したかのような音楽は、過剰な情感がない故にあらゆるシチュエーションにフィットする。おそらく明確に「フラットな感じ」を意識して作られたのではないか(なにも考えずに製作したらこのような音楽は生まれないだろう)と思うが、そもそもそこにフォーカスする・できるアーティストが世界にどれだけいるだろうか。稀有な感性が研ぎ澄まされたユニークな作品で、地味ではあるが他のどんな作品にもない平穏な空気が詰まっている。快晴よりはやや曇りがちな空が似合う、なんでもない日常のサウンドトラック。