DJ Sprinkles『Midtown 120 Blues』(Mule Musiq)

90年代からコンセプチュアルな作品を発表し続けていたアーティストのDJ Sprinkles名義での1st。緻密にレイヤーの重ねられた、繊細で包容力のあるディープハウス。慈愛に満ちた音楽には英語の語りという形で直接的にメッセージが込められている。それは音楽の印象を変えてしまうほどに強力なものだ(フィジカルに封入されたポスターやComatonse Recordingsの作品紹介・通販ページにて日本語に訳されたものを確認できる)。何も考えずに柔らかなサウンドに癒されるのも良い(まさしくハウスミュージックの主たる効能の一つだろう)が、一度はアーティストの愛と厳しさに満ちたメッセージに目を通すべきだ。最後にそこから個人的に最も印象に残った部分を引用する。「あなたが一時的に逃れようとした物がなにか忘れないで。結局、ハウス・シーンができたのも、ここにあなたがきたのも、逃れたい何かがさせたことだから。」