Matmos『A Chance to Cut Is a Chance to Cure』(Matador)

アメリカのデュオの4作目。ジャケットやアルバムタイトルが物語るように、主に外科手術の音を素材として用いた実験的なテクノ。出所は不穏だが最終的なアウトプットはポップかつユーモラス。音の由来や曲のコンセプトなどの背景を何も知らずに聴いても楽しめるが、それらを知ることで味わいが増すこともある。例えば「For Felix』(And All the Rats)」はフリーキーで散漫なアンビエントのようだが、この曲が空っぽのネズミの檻で奏でられていることを知れば、(終盤の狂騒を含め)曲の聴こえ方が変わってくるだろう。