(プレスリリース翻訳)
モントリオールのプロデューサーでTemple Records所属のAdam Feingoldが、Apronからのキラー12インチに続き、『Nuff Zang』で新たな感情とテクスチャーゾーンに踏み込んできた。ダブやアンビエントの要素を取り入れ、禅へのカジュアルなアプローチを試みたこの43分のリリースは、霞がかったジャックテクノ、スペースアウトしたハウス、残響のあるジャングルのリズムといった典型的な肉体的刺激を与えるムードの中に、メローで穏やかな場所を求めている。
『Nuff Zang』を構成するトラックは、床に座ったり、立ち上がったり、夜中に半分眠ったり、時には昼間にも眠ったしているようだ。その結果、音色とヴァイブの二重性が、この作品が完全な自己のためのものであるかのような感触を生み出す。
薄汚れたテクノやアフターアワーズ・ハイブリッドといった昨今のスタイリッシュな雰囲気の中で、Feingoldは明快かつ繊細な没入感を持ち、常にサウンドと「上」に向かうことにフォーカスしている。アンビエントなゾーナーも明るくエネルギッシュで、クラブミュージックとホームリスニングの境界線に調和している。まさに陰と陽の関係だ。
ダブアウトしたドローンのオープニング「Night of Scorpio」は、大きなクラップとデュオトーンのハウス「Palo Santo」に自然に移行し、途中から脆いハイハットとベースのグルーヴでますますジャンプしていく。また、「Don't Fuck With My Chi」のモノクロームのガラガラ音や、コンピューターによる明るいテクスチャーの「Zang」、アルバムの最後を飾る「Offering」は、朝5時の誰もいないハウスパーティーや、泥酔した日曜の夕方にぴったりの、遠くでお香の匂いがするようなアブストラクトなダブスポットだ。
赤と緑のグラデーションが印象的なアートワークだが、そのサウンドはモノクロームで落ち着いた印象だ。曲構造自体はクラブに対応したダンサブルなものだが、曲を構成する一つ一つの音色に落ち着きがあり、総体として非常に彩度の低い印象を聴き手に与えている。一般的なダブテクノのエフェクトを控えめにして、上品な感じで仕上げたらこのようになるだろうか(どちらかと言えばストーナーハウスの領域か)。遊びはないが全体に端正な出来で、細部まで整っているゆえに小さな音色の変化が際立って聴こえてくる。そういうことを踏まえると、アートワークの中心に大きくあしらわれた黒にもきちんと意味があるのだなと思えてくる。