DJ Voilà『Aimless Summer』(1080p)

(プレスリリース翻訳)


 DJ Voilà(aka Simon Chioini)はケベック出身で、そしてこの作品はモントリオールの夏への頌歌である——クラシックなアンビエント/エクスペリメンタルジャンルの語彙をクラブベースの断片に落とし込んだ、爽やかで鮮やかなリリースだ。
 『Aimless Summer』の最初のモードは繊細だ。タイトルはFenneszのEndless Summerを賞賛しているが、Logosの『Cold Mission』やTojiko Norikoの『Solo』からもヒントを得ている。Voilàは、「Some Jazz」や「Club Extérieur」などのビート重視のトラックで、靄やアトモスフェリックなゾーンの合間にグライムやハウスの要素をちらつかせている。
 音楽は旅行中に録音したものをベースに、いくつかのアナログシンセとたくさんのDX7を乗せている。このミックスは非常にシャープなハイエンドにフォーカスしており、夏、無目的、レジャー、様々な天候、様々なムード、時間の経過、気候の経過、愛、日常といった感情のぼやけた物語と進行に独自の色を添えている。


珍しく1曲目からかましてくる気合いの入ったリリースだ。曲名からなんとなく意図が読めるもののかなり実験的なサウンドの#1・#2を過ぎると、今度はまっとうなクラブ仕様のトラックでちょっとした優等生ぶりをアピールする。音の定位にも配慮した充実の内容だ。その後も冗談か本気かよくわからないが、おもしろくクセのあるトラックが続いていく。ミニマルなジャケットが冗談に思えるほどの軽やかな遊び心に満ちた作品だ。サウンドの目指すイメージを捉えるためにも曲名は意識して聴くといい。