Saffron『Petra I / Petra II』(1080p)

(プレスリリース翻訳)


 ニューヨークを拠点とするプロデューサーでテクスチャ・コレクターのSaffron(旧名Spirit Guide)は、この名義でのデビュー作となるダブルカセット『Petra I』『Petra II』で、鮮明で洗練されたハウスを通して鮮やかな背景と深いカフェの状況を描いている。
 Saffronのハイブリッドなジャンル構成は、トリップホップ、ムーディーなダウンテンポ、頑丈なウォーキングペース・ハウス、クランキーなIDMに、ローキーなシネマティクスが全体に漂う。緻密なベースグルーヴとピアノラインの上に漂う滑らかな動きとムードが全体を覆い、様々なテクスチャーが現れ、偽りのない熟練した感覚と表面だけをとらえた感性が、真摯で率直な「ソウル」なトーンと混ざり合っている。
 この誠実さと、ミレニアル世代のヘッドフォンエレクトロニカに回帰した美学のブレンドは、『Petra I』と『Petra II』の両方で、方向感覚を失いながらもスムーズなエルダイトのビートとリズムセットをもたらしている。
 この2つのEPは、物憂げな背景として、または難なくメロディとリズムの前景として鮮明に存在する2つの異なるタイムラインとして機能する。主なモードは、青々としたチルアウトハウスとピアノ主体でゆったりしながらも、エモいエレクトロニカ、ジャズっぽいムードとダウンビートの記号でシャッフルされている。
 『Petra I』はGregory Wikstromの力強いピアノをベースに、Momo Ishiguroのクリアで力強いボーカルが特徴の「Blueland」を中心に構成されている。また、ドラムの音が子音を強調し、シンセティックとオーガニックのテクスチャーが混ざり合い、ファサードとディープカットの間のアンバランスを表現。オフィスやカフェだけでなく、地下鉄の中でも聴けるように設計されている。


5曲ずつ収録されたEPのセット。ゆったりと隙間の取られた上品なハウス。多くの楽曲で透き通った音色のピアノがフィーチャーされている。ほんのりとジャズやトリップホップのフレーバーも香る、夜のムードに最大限フォーカスした作品集で、例えるならば00年代の(Matthew)Herbertをラウンジ向けに調整したような音楽だ。すでに十分ユニークな音楽性だが、1080pというレーベルにおいては特にその音のすき間の大きさで際立っている。音をしっかりと響かせる空間的なプロダクションからはどこか大人の余裕のようなものが漂っている。思わずドレスコードを確認したくなるようなおしゃれな作品だ。