Ricardo Villalobos『Alcachofa』(Playhouse)

チリ生まれドイツ育ちのアーティストの1st。彼をミニマルテクノの大御所たらしめているものは楽曲の奇妙さと作り込まれたサウンドの小気味よさだが、それらの要素はこの1stですでにはっきりと現れており、まさにそのことが本作を特別なものにしている。1曲目「Easy Lee」で始めに一瞬だけ鳴らされたドラムトラックが再び戻ってくるまで、我々はどれだけリズムを待ち望んだだろう?辛抱強い人でも30秒あたり——加工されたボーカルのフレーズが一巡したところで痺れを切らすだろう。だが実際のドラムトラックの帰還にはそこからさらに15秒ほどを要する。…バカげた演出のようにも思えるが、実際は非常に印象的であり、また他に似たような曲も見当たらない。いったい誰がこのような大胆な真似をできるだろうか? 最小限の細かなサウンドで強力なファンクネスを生み出す技術はもちろんだが、無数のヘンテコなアイデアも同様にすばらしい。結局のところ、彼にしか作れないものがあり、彼の作品からしか得られないものがあるということなのだ。